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 遺伝子組換え食品の話1



遺伝子組換え作物とは

遺伝子組換え作物とは、ある生物がもつ特定遺伝子を、ほかの生物の遺伝子配列の中に組み入れて、新たな性質を加えた作物のことです。

遺伝子組換え作物の特性

その特性は3分野に分けられます。

  1. 除草剤耐性

    大体70%の組換え作物がこの分野です。具体的に、ラウンドアップ耐性とも呼ばれます。これはアメリカのモンサント社が開発した世界最大の売上を誇る非選択性除草剤ラウンドアップに耐性力を持つ作物のことです。ラウンドアップは、全ての雑草を駆除しますが、作物も枯らします。それが枯れなければ、全ての畑を一度にこのラウンドアップだけで散布することが可能となり、大幅なコスト削減となるのです。

  2. 殺虫性

    おおよそ28%が殺虫性作物で、具体的にはジャガイモ、綿、コーンがその対象です。自らが害虫を駆除できる作物。農薬いらずの作物という訳です。

  3. 組換え体利用

    微生物の遺伝子を操作し、人間の有用物質を作らせる技術です。既に実現しているものには、インスリンなどの医薬品、洗剤などに入っている酵素や、大規模生産のチーズに使用されるバイオキモシンと呼ばれる酵素や環境汚染物質を分解する微生物などが有ります。

アメリカの有機農家の見た遺伝子組換え作物

キャリフォルアの州法で有機栽培が規定され、その後有機栽培農家が自主的に更に厳しい有機栽培農家認定規定を制定するに至る全てを経験してきた私の友人、 25万坪の有機農園主が語る遺伝子組換え作物の話です。彼の立場は、これ以上の自然のルール破壊は一切行わない。その為にも遺伝子組換え作物はおろか農薬、化学肥料も一切使用しない、というものです。彼は、自分のことを「大地の召使い」と呼んでいます。

有機農園主の彼が常に感動するのは自然の摂理ということです。時が来れば花が咲き、実がなり、そして熟す。その全てが一斉に且つ同時に起こり、刈り取りが遅れれば腐る。このプロセスが、植物遺伝子に組みこまれた情報で制御されていることが大切だ、と彼は言います。具体的に遺伝子とは、彼によれば、太陽の光や気温、風などに反応して、<必要な時に必要な場で働く>のであって、除草剤耐性植物や、殺虫性を持つ組換え作物のように、常に働くようには出来ていない。除草剤耐性や殺虫性は、そのことで得られる利益とは別に、周辺作物への影響が出たり、またその作物そのものの遺伝子を狂わせる可能性を否定できないと言います。実際、厳重管理をしたコーンのテスト畑の隣接畑に、その組み替えコーンが進出した例をあげ、自然界に生きる植物の多様性と共生を破壊することが心配だと語りました。

もう一つの大問題として、自然界には絶対に起きないこと、即ち<種の移動>は起こすべきではないとも語ります。これは現在進んでいる植物と動物や昆虫の遺伝子を交配した植物を作ることです。既に実用化はタバコで実現しているとのことです。これまでも品種改良は人間が時間をかけて自然界のルールの中で行ってきたのだから、それで十分とすべき。これが彼の遺伝子組換え作物についての結論でした。

遺伝子組換え作物耕作農家

組換え作物を作っている農家は、では本当にコストダウンで豊かになったのでしょうか。それが彼によれば必ずしもそうではないとの事。単純に組換え種子をどこからか購入し、それで終わりかと思っていたら大間違いでした。種子種苗、そして農薬、さらにはその使用特許料を払うほか、栽培圃場(畑)には大看板をたて、ここが例えば遺伝子組換えコーンの耕作地である旨を周知させる義務まで負い、その全てを契約書で文書化します。そして種子の保存禁止条項がしっかりとついており、違反には違約金がついているのです。つまりは、毎年買いつづけることになっているのです。

ちなみに、この遺伝子組換え技術を有するのは、アメリカのモンサント社、ドイツのヘキスト社、フランスのロンプーラン社やスイスのチバガイギー社が有名ですが、いずれも巨大資本を有する総合化学メーカーで、世界有数の農薬メーカーでもあります。単純化して言えば、農薬メーカーが種まで進出し、且つその種を使用特許で独占化を計る図式です。どうやら遺伝子組換え作物が特許戦争と言われる理由が見えてきましたね。次回は日本国内の遺伝子組換え食品の現状についてのお話です。