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 遺伝子組換え食品の話2



遺伝子組換え作物とは

遺伝子組換え作物とは、ある生物がもつ特定遺伝子を、ほかの生物の遺伝子配列の中に組み入れて、新たな性質を加えた作物のことです。

遺伝子組換え食品の現状

表示が義務付けられた食品が発表になった時、私はその数が余りに少ないのに驚きました。当時から農業の現状を学んでいた私は、大豆の自給率が4%を切り、コーンや菜種、甜菜は殆どゼロ等の数値を知っており、アメリカの遺伝子組換え作物を輸入して原料とする国内食品数は膨大であると予測していたからです。結論を先に申しますならば、平成13年4月以前から皆様は余程の注意を払わぬ限り、すでに遺伝子組換え食品を口にしていたのです。余程の注意とは、この場合、物事の考え方にまで及ぶことです。具体的には、表示を義務付けられた食品があるならば、免除された組換え食品も有るかもしれないという発想です。物事の表裏を考えることです。

私は当時、遺伝子組換え表示不用な食品リストを入手するのに、相当な時間を費やしました。

遺伝子組換え表示不用な食品

醤油、大豆オイル、コーンオイル、綿実油、菜種オイル、コーンフレーク、水あめ、異性化液糖、デキストリン、マッシュポテト、ジャガイモ澱粉、ポテトフレーク、冷凍・缶詰・レトルトのジャガイモ製品及びこれらを主な原料とする食品。

「主な原料」とは、全原材料中重量で上位3品目で且つ、原材料中に占める重量が5%以上のものを指します。

殆どがなじみのある食品かと思います。特に醤油やオイルの表示不用に驚かれる方が有るかもしれません。もう一度自給率との関連で検証してみましょう。

日本の自給率が殆ど0%のコーン。アメリカの組替え比率は1999年では60%でした。また日本人の食生活に重要な大豆を例に取りましょう。大豆は自給率 4%以下。1999年統計では年間輸入量が約506万トン。そのうちアメリカからは、389万トン。その比率は約77%です。アメリカの大豆生産に占める組換え大豆比率は年々上昇しており、5割を超えています。つまりは77%の半分、38.5%ほどの遺伝子組換え大豆を原料とした組換え食品を、日本人は食しているのです。そして大方の皆さんはそのことに気付かないし、知ろうとしてもその情報入手は簡単ではありません。遺伝子組換え食品は、すでに日本の食卓にしっかりと入りこんでいるというのが実情であることを知る必要があります。

遺伝子組換え食品と一般食品は区別されて然るべきです。消費者に選択する権利があるのは自由国家の基本だからです。ではどのような経緯で表示および表示不用の判断がなされたかを知らねばなりません。

遺伝子組換え食品についての考え方

結論を先に申し上げれば、日本政府の考え方は基本的に遺伝子組換え食品を推進するということです。農林水産省、厚生労働省とも遺伝子組換え作物、そして食品の両方とも安全確認が終了しているとの立場です。お役人に質問すると必ず最初に出てくるのが「実質的同等性」という単語です。これが遺伝子組換え食品の安全の原点というのです。では、この意味はどういうことでしょうか。次の文章は、農林水産省農林水産技術会議事務局が発行する資料からの抜粋です。

以下抜粋:原文のまま

食品(種子植物)としての安全性評価は、組換え前の農作物や導入遺伝子に関する知見が十分であれば、既存の食品(種子植物)を比較対象として用いる方法が適用できるという 「同等とみなしうる」すなわち「実質的同等性」の考え方に基づいています。このため、安全性審査基準に基づいて、まず、この考え方が適用できると判断されれば、次のステップとして、既存の食品との比較において、その組換え農作物の安全性評価に必要となる項目について個々に評価し、安全性を判断するものです。なお、この同等とみなし得るという考え方が適用できること自体が、その農作物が安全であることを意味するものではありません。

翻訳調で難しいですね。それもそのはずで、この「実質的同等性」の概念は遺伝子組換えの本場、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)が作りだしたものだからです。この概念をそのまま日本は採用しています。関係省庁各局の局長の私的諮問機関決定が、そのまま法律として制定されるのが日本の法律制定の一般的なパターンです。遺伝子組換え食品の表示制度もこの方法で出来あがっています。その諮問機関には、生産・流通関係者、学識経験者、そして消費者が検討を行ったことになっています。但し、その個々の検討内容を把握する事は、私の調査能力では不可能でした。例えば、誰が消費者で生産流通関係者なのか。学識経験者とは誰なのか。どのような基準で選定された皆様なのか。例えば私が消費者代表になれる可能性があるのか否か。こうした疑問に、私は今だに回答を見出せずにおります。つまりは、一般国民は、遺伝子組換え食品の表示のあるものを店頭で特定することしか出来ないのが現状でしょう。

遺伝子組替え食品の安全性

皆さんが最も関心がある安全性ですが、日本の遺伝子組換え食品の安全性の確認のために、どの検査機関が、どんな検査を実施しているかを知るべきです。答えは書類審査を、厚生労働省の各分野の専門家からなる薬事・食品衛生審議会で行うだけです。

第三者機関の検証試験やアレルギー人体実験(臨床試験)、また食品添加物で行われる第三世代までの安全性試験などは全く行われておりません。世界的に最も厳しいことを強調してきた厚生労働省の安全性試験制度が、この遺伝子組替え食品については書類審査。つまりは、相手の、殆どがアメリカの農薬メーカーが提出する書類の審査で決定されてしまうのです。私は、個別の毒性やアレルギー誘発性などの審査はもちろんのこと、長期的観点からの安全性確認こそ必要ではないかと思っております。その確認が出来なければ、私は遺伝子組替え食品は試す事すら致しません。

世界の遺伝子組替え食品の位置付け

遺伝子組替え作物の本場アメリカでは、マクドナルドが最近になって一切の遺伝子組替え食品を使用しない旨の声明を出しました。これを契機として多くのファーストフード店が右に倣えの不使用宣言をしています。一切というからには植物性オイルも含まれているのです。因みに日本のマクドナルドでは一切がノーコメント。アメリカでは有機作物がこの遺伝子組替え作物に良く対比されて紹介されます。消費者が相当賢明になってきているのです。

欧州ではどうでしょうか。EU(欧州連合)では食用油や異性化糖シロップを含む食品、そして飼料、ペットフードにいたるまで遺伝子組換え製品の表示義務を課しています。更にその加工食品の製造全工程の開示と記録義務を求め、組換え作物生産農家にいたる までの追跡調査が可能な状態なのです。EUでは、遺伝子組換え作物の生産販売は1992年に認可制としましたが1998年より認可を凍結したままです。こうした動きに対し、私はやはり食料自給率を思わずにはいられません。世界最大の食料輸出国アメリカ。そして国家戦略として食料自給率維持を計ってきた欧州。自給率が40%を切る日本は、飼料用を含めると更にその数値は20%台にまで落ちているのが実情なのです。売る側のアメリカは、日本市場を文字通りのドル箱市場と思っているでしょう。

私は、事ある毎に日本のオイルの様々な危険性について語り、そして世界一のオリーブオイルの輸入を手がけて自衛しております。現在自給率100%の米ですら、生産農家の高齢化、そして後継者難からほんの数年先には再び輸入問題が起こるは必定と言われております。そして稲の遺伝子組換えは日米間で開発競争の真最中と聞きます。安全な食生活を送り、健康な日々を送るには更なる努力が必要となるでしょう。

物事の両面を考えること。君子危うきに近寄らぬ事。健康の基本は安全な食品である事に、一切の妥協をしないこと。こうして私は、困難に対処していく覚悟を決めております。

参考:表示義務の有る食品

大豆(調理用)、枝豆、大豆もやし、豆腐。油揚げ類。凍豆腐。おから及び湯葉。納豆。豆乳類。味噌。大豆煮豆。大豆缶詰・ビン詰め。黄な粉。大豆いり豆。トウモロコシ、コーンスナック菓子、コーンスターチ、ポップコーン、冷凍トウモロコシ、トウモロコシ缶詰及びビン詰:以上の品目及び主原料とする食品。大豆粉、大豆蛋白、コーンフラワー、コーングリッツを主な原材料とする食品。ジャガイモ(生食用)